未受診妊婦の件数の多さは、社会的な問題となっています。大阪府が実態調査を行った報告によると、未受診-飛び込み出産は、平成25年度に285件、そのうち未成年は50件にも上ります。 未受診の主な理由は経済的理由ですが、未成年の場合は「家族にも言えず、どうしていいかわからなかった」が一番多い理由です。
この調査結果で、経済的問題・若年未受診妊婦・多産未受診妊婦の家族構成の複雑化・被虐待児の未受診妊婦当事者など、社会的病理が浮き彫りとなりました。これは大阪に限った問題ではなく、関西や全国に見られる問題となっています。
厚労省の審議会、児童虐待検証委員会は、同年度に把握した心中以外の虐待死事例は36例で、「0歳 」が44.4%で最も多く、その調査結果から、未受診や望まない妊娠など、妊娠期・周産期の問題が乳児虐待につながることを指摘しています。
このような社会環境を背景に、私たちは、「お腹の赤ちゃんも大切な社会の一員」との思いで、妊婦の時期より一貫してサポートする活動を続けてまいりました。 しかし、家族力の低下により、若年層は社会からの孤立を深め、悩める妊婦さんの声は、届き難くなっています。
誰にも相談できず悩む妊婦さんと、誰からも愛されることなく遺棄され、亡くなっていく赤ちゃんのいのちを救うため熊本県にある慈恵病院では、望まない妊娠により悩みを抱えている人のための相談窓口 「SOS妊娠相談」、さらに匿名で赤ちゃんをお預かりする窓口 「こうのとりのゆりかご」 の活動に長年取り組んでいます。私たちは、このたびこの理念に賛同し、国内で2番目の窓口を関西に開設し、その支援をすることとしました。